座談会

2021.08.11

未知との向き合い方は、一人より誰かと考えた方がよい ~コロナ禍があったからこその「人事としての軸」(後編)~

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今矢 敦士 Atsushi Imaya
今矢 敦士 サイコム・ブレインズ株式会社
コンサルタント

偶然や突然に対して「乗っかる」「楽しむ」ことができるか

  • 今矢 敦士
    皆さんそれぞれ、ご自身や会社に対して大切にしたいこと、「To Be」を持っているんですね。皆さんを含めこれからの組織を引っ張っていく人事が持つべき軸みたいなものを、もう少し明確なキーワードにしてみたいのですが、皆さんには、いわゆる「座右の銘」みたいなものはありますか?
  • 高尾 千香子
    座右の銘というかモットーは、「Just Do It」です。理由としては、これまでお話ししてきたように、人事として、自分はこういうことをやってみたい、こういう世界を作りたい、というTo beやビジョンがたくさんあるんですけど、そこにいくためには、やることがたくさんあると感じているからです。机上で絵を描いたり、アイデアを出せる人は大勢いるんですけど、実現できる人は本当に一握りで、実行力がある人が一番だなと思っています。ただ、その力は自分としては弱いと思っているので、今を走る感じの「Just Do It」をテーマにしています。プライベートの話になるのですが、私はサーフィンにハマっていて、海の近くにセカンドハウスを借りてリモートワークをしていたのですが、こんなに出社しないのなら都内にいる意味がないと思い、東京の家を完全に引き払って、千葉に移住しました。移動に以前よりは時間がかかるのですが、それも新鮮で、本を読んだりしながら新しい世界を楽しんでいます。
高尾 千香子 氏
  • 岡本 弘基
    私は静岡県浜松市の出身なのですが、その地域のモットーのようなものに「やらまいか」があります。先ほどの「Just Do It」に非常に近いもので、なんでもやってみようということです。私の曽祖父は農家の三男から工場を興した人で、発明家として実用登録新案をとり、海外まで商売を広げていた実業家でしたし、祖父も工場を拡大し日本各地を飛び回っていたやる気に満ち溢れた男でした。そういう浜松の男の血を濃く引き継いでいるので、私も「やらまいか」を座右の銘にしています。
  • 谷 圭一郎
    私は座右の銘については考えたことがないんですが、キャリア理論の中である、「プランド・ハップンスタンス理論」、偶然性のキャリアという考え方を思い浮かべます。これは、結果として成功した人を見た時に、目の前のことに真摯に向き合い、ある意味愚直に進めていくことによって仕事がどんどん広がっていき、最後に振り返ってみるとそういうキャリアに偶然なっていると分析したもので、自分は感銘を受けました。この理論も、先ほど話したジョンソン・エンド・ジョンソン時代の上司に教わったものなのですが、目の前の仕事に取り組むことでキャリアは開かれていくという考え方を大切にしたいなと思っています。
  • 今矢 敦士
    「プランド・ハップンスタンス理論」は、キャリア開発の領域では皆さんお馴染みの考え方ですね。人事の方にとっても、この考え方は有効だと思います。何が起こるかわからない中だからこそ、目の前に突然ふってきた変化を「不可抗力だから」といって思考停止するのではなく、チャンスと捉えて新しいことを行うきっかけにしたり、失敗するかもしれないけれどやってみよう、というある種の楽観や打たれ強さが求められているように思います。「Just Do It」も「やらまいか」も、根底にはそういった要素があるのではないでしょうか。「受け身ではなく行動あるのみ」という考え方は、「次世代戦略人事リーダー育成講座」の講座内で、八木洋介さんが常々戦略人事の在るべき姿としてお話しされていることでもありますね。

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