2019年6月27日開催レポート

異文化理解&適応トレーニング体験会~国ごとに異なる文化や価値観の違いを学ぶ~

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2019.08.15
福永 美保
福永 美保アソシエイト/エキスパート(異文化領域担当)

サイコム・ブレインズでは、去る2019年6月27日(木)、「多国籍な環境で働く/海外拠点で働く日本人のための「異文化理解&適応トレーニング」体験会~国ごとに異なる文化や価値観の違いを学ぶ~」を開催しました。当初予定していた人数の2倍のお申込みをいただき、異文化理解への意識が高まっていることが感じられました。当ページでは、当日の講師を務めました福永が体験会の実施概要をご報告するとともに、「異文化理解&適応トレーニング」の特徴、および異文化オンラインアセスメント「カルチャーコンパス」の活用事例などをお伝えします。

※弊社はホフステード・インサイツ・ジャパンとの提携のもとにホフステードの6次元モデルに関する異文化理解&適応プログラムを提供しています。

まず、参加者のバックグラウンドは非常に多様で、企業の方のみならず、医療機関や教育団体等、様々な分野からご参加いただきました。それぞれの方に異文化に関わる課題があり、もはや海外に進出することだけが「グローバル化」ではないことを強く実感しました。

研修風景1

文化を理解するための様々なワークを体験

さて、体験会では「文化とは何か?」というトピックから話を始めました。「文化」と言う言葉を我々は日常何気なく使っていますが、「文化って何ですか?」と問われたときはっきり答えられる方は少ないのではないでしょうか?本体験会で取り上げる「文化の6次元モデル」を提唱したオランダの社会人類学者のホフステード教授は「文化とは、あるグループを他のグループから区別する心のプログラミングである」と定義しています。実はそのプログラミングが無意識のうちに行われているということを、ちょっとした実験によって疑似体験いただきました。このプログラミングは、我々の価値観に大きく影響しており、異なる文化に触れたときに、その文化がどのように見えるか、どのように感じるかを方向付ける、いわば「レンズ」として機能します。
また、同じメキシコ人でも、我々日本人が抱くイメージと、○○人が抱くイメージが違うように、価値観のレンズはその人がどのような文化に属しているかによっても違います。
このトレーニングでは、まずはそのことを実感を持って理解するために様々なワークを行います。
今回の体験会では、たとえば「中国に出張したイギリス人のカルチャーショック」を少しコミカルに描いた動画や、トリックアートのような絵画を用いたクイズなど、様々なワークに実際に取り組んでいただきました。

研修風景2

目に見えない文化をスコア化する!ホフステード教授の6次元モデル

その後、ホフステード氏が開発した異文化を読み解くフレームワーク「6次元モデル」について、詳しく解説いたしました。それぞれの次元の特徴、ビジネスへの影響、日本のスコア、世界各国のスコアをご紹介した上で、ビジネスシーンでありがちな異文化に起因する問題を、次元を用いて分析するエクササイズとケーススタディも参加者の皆様に取り組んでいただきました。理論と現実を結び付けて考える・分析するといったアプローチが、このモデルをビジネスで活用するために不可欠であることを実感していただけたのではないかと思います。

人々の持つ価値観、そしてその国の文化は目に見えません。ですが、よりよいビジネスを行うには、その国の文化について正しい認識を持ち、文化的価値観の違いを超えてよりよい関係を構築しながら円滑に協働することが非常に重要です。文化を6つの切り口から数値化し、相対的に比較できるようにしたホフステードの「6次元モデル」は、相手の文化を理解するフレームワークとして非常に優れたツールだと言えるでしょう。もちろん、〇〇人はXXXだ!というような、数値による短絡的な決めつけは危険です。日本人でも様々な価値観を持った人がいるように、たった1つの数値でその国の全ての人を表すことは出来ません。ですが、文化の違う人と初めてコミュニケーションをとる時、何かトラブルが起こったとき、この6次元モデルが大きなヒントを与えてくれると思います。

日本が持つ文化的特殊性とは?

また、ホフステード氏の分析によると、日本は世界中のどこの文化圏にも属さない特殊な価値観のパターンを持つ国だそうです。ですので、どこの国の方とコミュニケーションをとる場合でも、文化的特徴や価値観の違いとそれがもたらす影響に注意を払う必要があります。このモデルを短時間で完璧に理解することは簡単ではありませんが、3時間のレクチャーとエクササイズによって、参加者の皆さんにも初めて触れる“ホフステード理論”の概要を理解していただけたのではないかと思っています。

カルチャーコンパスを活用する!

<診断結果レポート(サンプル)>

また、今回は参加者特典として「カルチャーコンパス」を受診する機会を提供させていただきました。カルチャーコンパスは、「ホフステードの6次元モデル」をベースに開発されたオンラインアセスメントで、このアセスメントによって、「自分自身の価値観の傾向」「母国の国民の平均的な価値観」「関心のある国の国民の価値観の傾向」と、それぞれの違いを数値で客観的に把握することができます。このレポートの分析結果と「ホフステードの6次元モデル」というフレームワークを得ることで、自身の価値観を客観的に見つめ、自分自身および日本人が異文化環境で遭遇するであろう「意外性や驚き」を論理的に理解したり、対処の糸口を見つけることができるようになります。カルチャーコンパスは、基本的にはご自身と関心のある国の価値観の違いがみられるものですが、例えば日本人だけのチームでも、メンバー全員がカルチャーコンパスを受診して各個人の価値観を示す数値をグラフにプロットすることで、互いの価値観の違いを深く理解することができ、より良い関係を構築することができる、といった活用方法もあることをご紹介しておきたいと思います。参加者の方からも、「カルチャーコンパスの結果を見ることで、それぞれのスタッフがどのような上司を理想としており、どうするとモチベーションがアップするのかの糸口になるので、自分のチームで実施してみたい。」とのご意見がありました。社内のコミュニケーション改善やチームワークの向上といった課題をお持ちの企業の皆さまにも「カルチャーコンパス」を活用していただきたいと思います。

ケースや事例を盛り込んだ実際の研修例(カスタマイズが可能です)

今回の体験会では時間的な制約から演習やケースに十分な時間を割くことができませんでしたが、通常の公開講座や企業研修ではレクチャーを受けた後、実例に基づくケースを題材にしてグループ内でじっくり議論していただく場面をふんだんに盛り込んだ、コンパクトながらとても実践的な構成となっています。

スタンダードなプログラム例(1日コースの場合)

受講前 異文化オンラインアセスメント「カルチャーコンパス」の受診
研修当日
  1. 本トレーニングのプログラム紹介と目的

    グローバルな事業展開のために価値化の異なる人々を理解することがいかに重要かを認識する

  2. 文化とマネジメントの関係

    経営に文化がいかに大きな影響を与えるかを認識する

  3. 「6次元モデル」を用いた各国の価値観の違いの解説

    各国のスコアを比較し、価値観の違いを客観的に把握する

  4. 「カルチャーコンパス」レポートの解説

    レポートが提示する自身の価値観の特徴を理解し、価値観の違いがもたらすコミュニケーションへの影響とリスクに備える

  5. 演習、ケースを題材としたグループワークと解説

    学んだ知識を定着させ、実践的なスキルに落とし込む

  6. 質疑応答及びまとめ
参加者の声(一部抜粋)
Q.参加した理由
  • 本社から赴任した日本人が、現地子会社の従業員から尊敬されていない。文化の違いに原因があるのは分かってきたが、現地のスタッフに聞いてもはっきりしたことが分からないため、無意識に持っている文化の違いを客観的に測れるものがあれば知りたいと思ったから。
  • 海外現地法人での研修実施を検討しているため。
  • 海外とのコンタクトも多いため、知っておきたいと思ったから。
  • 現在推進中のプロジェクトにおいて、異文化の理解が非常に重要なテーマであるため。
  • 地元企業や(外国人の)学生向けに異文化理解の展開を検討したいから。
Q.参加した感想
  • 6次元モデルを知ることが出来て、とても勉強になった。日本の文化が非常に特徴的であるということが分かった。職場で日本人同士でまず活用できるのではないかと思う。
  • 日本の特徴を、男性的、不確実性の回避、長期志向が高い特異な国だと意識することで、分かりあえることが出来るかもしれないと感じた。
  • 今まで赴任者からの評価が良かった現地採用の人は、東南アジアの人が多かったが、集団主義の国に属しているということで納得ができた。権力格差、集団・個人主義の考え方は、マネジメント職で海外に人を送る際に伝えたい。
  • 自分自身および自分の国と相手国の差を理解することが重要で、全体の傾向だけで判断してはいけないと改めて思った。
  • 一般的なホフステードの6次元モデルは理解できたので、現在研修実施を検討している国用にカスタマイズできれば、日本人と現地スタッフとのコミュニケーション問題への対応に繋がるのではないかと感じた。
  • 異文化、外国としてだけでなく、企業の中においても同じような部分があると感じた。

なお、弊社では当体験会でご紹介した「異文化適応トレーニング~6次元モデル編」以外にも、グローバルな戦略の策定と実行を支援する様々な研修プログラムとリソースをご用意しています。
世界を相手に事業を展開する貴社の人材育成施策検討の相談相手として、サイコム・ブレインズをぜひご活用ください。

  • 福永 美保 Miho Fukunaga

    福永 美保Miho Fukunagaアソシエイト/エキスパート(異文化領域担当)

    上智大学ドイツ文学部卒業後、JETROにて国際交流事業を担当。その中で文化がコミュニケーションに与える影響の大きさを目の当たりにする。幼少時をバングラデシュで過ごしたことから、元々文化の違いに興味があり、学生時代より35か国以上を訪れて現地の人々と交流をしてきた経験を持つ。その経験からも、長期的な真の国際交流やビジネスには相互の異文化理解が不可欠と考え、まずは自らを異文化の環境に置くため米国に留学。異文化関係学分野にて修士号を取得した。帰国後は、外資系異文化コンサルティング会社の立ち上げに携わったのちビジネスコーチング会社勤務、総合病院の職員の人材育成と国際化担当を経て当社へ入社。現在は異文化マネジメント、ビジネス英語トレーニング、ダイバーシティ推進プログラム、管理職研修等の分野のプログラムの企画や異文化研修のコンテンツ開発等に携わっている。ホフステード・インサイツ異文化マネジメントプログラム ファシリテーター認定コース修了。

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