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レポート

2020.02.04

すでにグローバルなMARS社が、なぜ「異文化」の問題に取り組んだのか? ―The Culture Factor 2019 Conference レポート②

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福永 美保 Miho Fukunaga
福永 美保 サイコム・ブレインズ株式会社
コンサルタント

「結論なし」に違和感を覚えるのは、文化の影響?

私はサイコム・ブレインズで異文化マネジメントの領域のエキスパートを担当しています。このカンファレンスは今回が初めての参加でしたが、それは日本で行われる同様のイベントとの大きな違いをあらためて感じる機会でもありました。

グループディスカッションの様子。
会場は大学キャンパス内にある「technoport」という企業のイノベーションを支援する施設です。

異文化や組織文化に関する様々なテーマによる基調講演や分科会が催されたわけですが、そこはやはり専門家たちが集まる「カンファレンス」です。多くの参加者はスピーカーの話をただじっと聴くだけでなく、自分の興味・関心にしたがって、自分のタイミングで聞きたいことを質問します。また講師からの問いかけでその場でディスカッションをする、あるいは異文化トレーニングのプログラムの一部を体験するために少人数のグループに分かれてワークをする機会も多くあります。しかし、多くの場合は、各グループで何を話したのかを全体でシェアしますが、それを受けて講師からなんらかの結論が提示されることはありません。私は無意識的に「経験豊富でシニアな専門家たちの知見」が得られることへの期待が大きかったせいか、カンファレンスの序盤は少しだけ戸惑いました。しかし、考えてみればそれは当たり前のことです。経験年数や年齢に関係なく、個々の参加者が対等な立場で意見やアイデアを述べ、異なる視点を共有することで、新たな気づきやこれまでとは違う可能性を発見できるのが、こうしたカンファレンスの醍醐味なのだと思います。

ちなみに「ホフステードの6次元モデル」のひとつに、「不確実性の回避度」というものがあります。日本人はそのスコアが高く、未知の状況に対して不安を感じ、それを避けようとする傾向があります。また「権力格差の受容度」という次元においても、日本人は欧米人よりスコアが高く、専門家や上司の発言を肯定的に受け入れる傾向が強いとされています。

ホフステードの6次元モデル

この二つの次元について、私自身のスコアは平均的な日本人よりは低いのですが、私がカンファレンスの序盤で感じた「戸惑い」は、こうした文化的背景に起因しているのだと思います。ホフステードは文化について「心のプログラミング」と定義していますが、あらためて国の文化というのは無意識のレベルで自分の行動や思考に大きく影響するものだと実感しました。

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