コラム

2015.05.07

営業報告書の意義と書き方

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小西 功二 Koji Konishi
小西 功二 サイコム・ブレインズ株式会社
ディレクター / シニアコンサルタント

皆さまこんにちは。今回は、営業報告書(日報・週報・月報など)の意義と書き方について考えてみたいと思います。

報告書作成を厭う営業パーソンは少なくないと思います。「そんな暇があるぐらいなら、1件でもお客様を回ってきた方がよい」という言い分は、分からなくもないです。しかしながら、日々の営業活動について書面での報告義務を課さない組織は、ほとんど見たことがありません。なぜでしょうか。

営業パーソンはひとたびオフィスを出ると管理者の目が行き届きませんので、「外で何をやっているか」をマネジメントや上司に報告する義務があるでしょう。ただ、もう少し掘り下げて営業報告書の「攻め」の意義について考えてみます。

結論から言いますと、私が考える営業報告書の意義は、「自分が成功するために、良い意味で他人を巻き込んでいく」ことにあります。具体的には以下3点です。

第一に、商談プロセスと面談の様子を明らかにすることで、経験豊富なベテラン営業、上司やマネジメントからアドバイスがもらえるかもしれません。例えば、「面談の様子からすると、次回クロージングは未だ早い」、「その話を持ち掛けるなら、相手の上司を同席させた方が良い」、「商談プロセスが間延びしているようなので、(例えば部長あるいは役員である)私が一度先方キーマンと会ってみようか」などのアドバイスです。経験が浅い若手であればむしろ自分から積極的にアドバイスを求めていくのも良いと思います。

第二に、案件のキーパーソンをあらかじめ特定し、共有することができれば、コネを持つ同僚や上司、マネジメントが口添えしてくれるかもしれません。例えば、「数年前、私の顧客の窓口担当者でしたよ」、「彼なら大学の先輩ですが・・・」、「先日、社外のセミナーでお会いし、意気投合したばかりです」などといった良縁もなきにしもあらず。もちろん、過度な期待はできませんが、世間は意外と狭いものです。

第三に、類似案件の成功方程式が適用できるかもしれません。例えば、会社は違うが、課題認識が酷似している2社があった場合、一方で通用した成功事例(提案内容)が、他方でも通用する確率は低くないと考えられます。営業報告書や提案書を社内共有できていれば、他社の成功事例をベースに提案を考えることができるので、効率的かつ効果的です。要するに、資料作成の手間が省けるだけでなく、成約の確度が高まるということです。

以上のように営業報告書が有効に機能するためには、2つの条件が必要です。ひとつは、社内で流通する営業報告書にマネジメントや上司はもちろん、営業パーソンも興味関心を持って読み込むこと、そしてもうひとつは、営業報告書を書く側が先に述べた3点を意識して書くことです。後者について以下解説いたします。

私が考える営業報告書に求められる要件は次の5点です。①いつ誰と商談したか、その際に使ったツール(提案書やパンフレット)とともに明示されていること、②商談の目的が明示されていること、③その目的が達成されたか否かが明示されていること、④なぜ目的達成あるいは未達成と判断されるのか、その根拠となるお客様の言動が明示されていること、⑤そのうえで、今後のアクションの日付と内容が明示されていること、です。この5つの要件を満たしていないと、先に述べた営業報告書の意義が顕在化しません。

かくいう私も、営業機能を担うコンサルタントとして、営業報告書(当社では週報)を毎週書いています。上記5つの要件を満たすよう努めていますが、とりわけ③や④を自らに問う作業は苦痛を伴います。突き詰めれば突き詰めるほど、己のスキル不足を思い知らされるためです。

しかしながら、そうした内省を経るからこそ、営業パーソンとしての成長があると私は信じたいです。そのような営業パーソンには、周囲からの支援も自然と集まるものだと信じたいです。その意味でも営業報告書は「自分が成功するために、他人を良い意味で巻き込んでいく」ツールになり得ると考えます。

次回はコンサルティング営業についてお話しいたします。

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