コラム

2020.02.10

バーチャルクラスルームを実践して分かった3つのこと

  • b! はてぶ
小西 功二 Koji Konishi
小西 功二 サイコム・ブレインズ株式会社
ディレクター / シニアコンサルタント

バーチャルクラスルームの台頭で、リアルな集合研修はなくなる?

今回の実践によって、双方向性の高い内容が求められるトレーニングにおいても、プログラムや運営面での工夫をすることで、リアルな集合研修と比べても遜色のない結果をVCRでも得ることができる、ということがわかりました。では、今後VCRは集合研修にとって代わるのでしょうか?

私個人は、「そうはならない」と考えています。冒頭で述べたビジネス環境の潮流を鑑みると、VCRのようなトレーニング手法は今後増えていくのは間違いないと考えます。一方で、VCRではどうしても実現できない領域があるのも事実です。フェイス・トゥ・フェイスのやり取りから生まれる一体感や高揚感、より密なコミュニケーションによる深い内省などの領域では、集合研修に軍配が上がります。

しかしながら、VCRの持つ可能性は無視できません。それは、集合研修のように詰込み型になりがちな「点」の学習、単発的な学習を、一定期間にわたる「面」の学習、いわば「期間学習」に転換できる可能性です。ビジネス上のトレーニングの最終ゴールは、知識やスキルが受講者に定着し、実ビジネスで活用され、パフォーマンスが上がることです。知識やスキルの定着を考慮すると、この期間学習の効果は論を待ちません。今後は、集合研修とVCRのすみ分け、あるいは組み合わせが、学習効果の最大化のポイントになるかもしれません。たとえば、On the Job Training =OJTにITを用いて、一部をOff-JT化することで、さらに効果と効率を高める。あるいは映像視聴とセットにした集合研修を行った後、複数回のVCRを頻度高く実施し、最後にもう一度リアルな集合研修で気づきや内省を深める。今回のVCRの実践を通して、今後そのような形の学び方が増えていく可能性を強く感じました。

デモ動画撮影の様子。
今回ご紹介した企業の実践事例でもそうでしたが、VCRのプログラムの進行をスムーズにするために、
またネット接続や映像・音声のトラブルに迅速に対応するためにも、
メインファシリテーターとオペレーターはできるだけ同じ場所で直接コミュニケーションができる状態であることが望ましいです。

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