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レポート

2017.02.19

HRは如何にして、自分の企業における価値を改めて位置づけるか ― HR交流会 in 上海「HRBP〜企業における人事ビジネスパートナーの役割〜」

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サイコム・ブレインズ株式会社
サイコム・ブレインズ株式会社

HRBPの日系企業における実踐面でのチャレンジ

HRBPのコンセプトは、Dave Ulrichが1997年に提起して以来、既に20年の発展の歴史がある。「人的資源ビジネスパートナー」理論の絶え間ない実践に伴い、HRBPは近年人的資源業界のホットキーワードとなり、人的資源担当者の非常に重要なキャリアの発展方向となった。しかし、大手欧米企業や大手国内企業と比較して、多くの日系企業では制度や文化等の原因で、この理論による実踐は比較的に遅れぎみである。

HRBPとは何なのか、日系企業でHRBPに基づくモデルチェンジの挑戦には何が考えられるか、日系企業のHR担当者はどのようにして企業の中での自分の価値の再構築を実現するかが、多くの人的資源関係者が注目するテーマとなった。まさに、このような状況下で、サイコム・ブレインズ上海は2017年2月15日に当該話題をテーマにサロンを企画した。日系企業20余社、30余人といったHR担当者を一同に誘い、HRBP関連の話題について討議した。

HRBPが強調しているのは企業の中におけるHRの価値のリポジショニング

今回のサロンのゲスト講師である姜宏寛講師は人的資源分野で豊富な実踐経験があり、GE、ジョンソン&ジョンソンなど著名なグローバル企業や中国平安保険などを歴任している。在任期間中、姜講師は主に人的資源マネジメントの仕事に従事し、企業内のHR機能再構築プロジェクトの指導と推進の責任者を担当した事があるため、欧米企業及び国内企業でのHRBP関連の実践の状況について充分把握している。これらの実践経験は、日系企業のHRにとって非常に良い啓発作用になった。

今回のサロンは主に3つの面から話題を展開した。 1つ目はHRBPの発展と変遷、 2つ目は現在の市場環境下で人的資源が直面しているさまざまな挑戦、最後にHRBP能力の構築と講師自身の実践経験から得た心得を紹介した。セミナー中、姜講師は重点的に一つのコンセプトを強調したが、それはHR担当者が如何に自分自身の価値をアピールするかである。姜講師によると、伝統的なHRは主に事務的な仕事に従事しており、このようなポジショニングではHRがもっと高いところでの意思決定に参与できず、往々にしてHRの専門分野の中でしか発展できない。そして、やっている仕事は業務部門の社員の理解が得られない。この専門性の壁によりHRは業務の核心からますます遠ざかり、それによってHRの価値がますます認められなくなる。

HRのキャリアのボトルネックの突破口を期待しているHRにとって、これは大きな啓発となった。これからHRが企業の中で発展を遂げたい場合、企業の中で自分の価値を高めなければならない。HRが業務にも精通し、最終的に業務チームの中の人的資源のスペシャルリストになるという方向に発展するのが、HRBP理念のHRに対する指導的な意味合いになっている。

参加者との質疑応答

講師の明快な解説のほかに、今回のサロンの参加者も積極的に自身のHRBP構築段階での様々な悩みを分かち合った。参加者から「HRBPが業務部門に重心を移動した後、HR自身はどう位置づけられるのか?HRBPはシニアであるべきか、若者でもいいのか?報告の対象は業務部門の直接管理者なのか?」という質問があった。この質問に対して姜講師は、真の意味でのHRBPは自分を業務チームのスペシャルリストと位置づけるべきで、業務を十分に理解できてこそ人的資源の問題解決者として、業務チームの人事関連問題を解決できると述べた。この位置づけを前提に考えれば、シニアスタッフか若いスタッフかは重要でない。重要なのは業務に対して明確さと独特の理解が必要であると同時に、人的資源の角度から業務の問題を解決する構想と視点を提示すべきである。姜講師は自らの実践経験から、HRBPは複数ルートの報告をすべきで、業務部門の管理者に報告をする必要があると同時に、HR部門の管理者にも報告する必要があると述べた。

さらに他の参加者からは「現在HRBPの実践は主にいくつかの大手企業で行われており、比較的に若いベンチャー企業にとっては、どのようにHR機能からHRBPに転換していくべきか」と問題提起があった。この参加者の問題に対して、姜講師は企業自身の実際状況に応じて考えるべきで、大手企業は人的資源マネジメントの「三大支柱」モデルに基づいてHR機能のモデルチェンジを促進し、中小企業にとっては必ずしも「HRSSC」を設立する必要はない。彼らとしてはHR分野の専門性を徹底すると同時に、できるだけ多くの時間を業務理解に使い、業務が具体的にどのように展開していくのかを把握し、業務の観点から、自分の仕事をよく考えることが大事である。このようにしてこそ、自分の専門の仕事と業務との関連性をより多く結びつかせる事が出来、自分の価値を体現出来るようになると述べた。

講師のコメントに参加者も強い納得感を感じ、肯定的なフィードバックを与えた。全体的に見れば、今回のサロンは成功し、参加者の好評も博した。以下は参加者からのフィードバックの一部である。

  • ➢ 先生のお話は生き生きとしており、ケースも多い。実務的で実例と理論がかみ合って分かりやすい。
  • ➢ 講師は理論的な話を分かり易く説明した
  • ➢ 内容は会社の現実の問題にフィットしており、新しい知識と概念を学んだ
  • ➢ 講師は自分の経験から参加者の問題に解答し、説得力が強く、的を射ている。

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