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江島 信之
サイコム・ブレインズ株式会社
取締役執行役員
皆さんの会社では、従業員に対するアセスメント、あるいは組織に関するサーベイを実施していますか? 適性検査や従業員満足度調査などをイメージする人も多いと思いますが、現在は採用、選抜、評価、育成、組織開発など、実に様々な目的で活用されています。また近年はAIやビッグデータ分析を活用した新しいツールも続々と開発されています。テクノロジーの進化によって人材に関するあらゆる情報の取得・蓄積・分析が可能になる中で、経営・人事としてアセスメント/サーベイをどのように活用すべきなのか。今回はクラウドによる360度フィードバックなど、サーベイシステムの開発と導入コンサルティングに携わるフォスターリンク株式会社 取締役 岡祐介氏にお話を伺います。
「わら半紙1枚」からクラウドの世界へ
- 岡さんがHRの領域、それも人事向けのクラウドサービスや、360度フィードバックなどに関わるようになった背景をお聞きしたいです。
- 実を言いますと、20代の頃に4回ほど転職していて。最初は大工をしていたのですが、結婚を機に商社に転職してシステム関連の仕事をしたり、中国に赴任して割りばし工場を造ったり、日本製の化粧品を中国に輸出したり。今につながることとしては、福祉施設を立ち上げる仕事を4年ほどしたのですが、その中で施設のマネジャーやスタッフの採用とか、給与計算とか、総務的なことも含めて経営や人事にも関わるようになりました。
- 当時の福祉施設としては珍しかったと思うのですが、経営者がチャレンジングな方で、施設のマネジャーに対していわゆる360度的なものを実施してみたり。といっても何かシステムを使うとか、そういうものでは全くなくて。わら半紙1枚に言いたいことを色々書いてもらって、それをまとめてマネジャーにフィードバックする…みたいなことを自己流でやっていました。
- なかなか面白いキャリアですよね。システム的なことに関しては以前から比較的お詳しかったのでしょうか?
- ほぼ独学なんですが、好きだったんでしょうね。色々な仕事をする中で、「こういうことが割と得意なんだな」と自覚して、今度は業務効率化のコンサル的なことで独立したいなと思うようになりました。はじめは知り合いの会社に行って、1日かかっていた仕事を1時間ぐらいで終わるようにエクセルでプログラミングしたり、簡易な従業員管理のシステムをゼロから立ち上げたり。そんな中で代表の倉島が当時ほぼ一人でやっていたフォスターリンクと出会って。その当時、2000年前後はまだ「クラウド」なんて言葉もなくて「ASP」と呼んでいましたが、ちょうどセールスフォース・ドットコムさんが日本に来た頃で、そういうビジネスって面白そうだなと感じていて。それをフォスターリンクが人事の領域でやろうとしていたのが、私にとってはすごく斬新でした。
- フォスターリンクとしては、最初から360度フィードバックを提供していたのでしょうか?。
- 360度フィードバックは当時のアメリカだと当然のように行われていましたが、その時の日本ではまだまだ浸透していなくて。それに日本の場合はデータをクラウド、つまり会社の外に集めることに対してなかなか理解が得られないことも多かったです。なのでほとんどが外資系企業からのご相談でしたね。最初はコンサルティングファームや研修会社さんからの業務委託で、我々はその裏方で仕事をするスタイルを確立していきました。