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矢淵 敏幸
サイコム・ブレインズ株式会社
執行役員
周知のとおり、新型コロナウイルスは、私たちのビジネスと生活に甚大な影響を及ぼしています。政府が示している「新しい生活様式」には、テレワークやオンライン会議の推進など、多くのビジネスパーソンの行動変容を求める内容が盛り込まれています。例えば管理職はリモートでチームをマネジメントすることが求められ、営業職は従来のように顧客を訪問することが大きく制限される中でも、変わらず成果を上げ続けることが期待されます。さらには、会社の業績悪化に伴うボーナスカットなど、経済的な不安を抱くビジネスパーソンや、雇用維持についての不安を拭い去ることのできない経営者も多いことでしょう。
コロナ禍のもたらす出口の見えない不安は、多くのビジネスパーソンにとって、大きなストレス源となっています。こうしたストレスフルな環境下では、私たちは時としてネガティブな言動、いわば「ダークサイド」を発露しがちです。本コラムでは、人材開発の領域における「ダークサイド」がどのように定義されているか、そして自分の「ダークサイド」とどのように向き合うべきか、深掘りしてみたいと思います。
「ダークサイド」って、ちゃんと定義できますか?
みなさん、そもそも「ダークサイド」が具体的にどういうものか定義できますか?産業・組織心理学者のRobert & Joyce Hogan夫妻が開発したアセスメントツール「Hogan Assessment」ではこの「ダークサイド」について明確に定義しています。私たちは皆、それぞれ固有のパーソナリティ(気質)を有していますが、Hogan Assessmentでは、パーソナリティを大きく3つの切り口で測定しています。
第一の切り口は、行動の源泉や組織文化とのフィット感の基となる、特有の価値観や好みなどです。Hogan Assessmentでは「インサイド」と表現しています。第二の切り口は、普段表れているパーソナリティのポジティブな面です。これは「ブライトサイド」と表現されています。第三の切り口は、普段表れることがないものの、ストレスフルな環境下で表れやすいネガティブな面であり、これが「ダークサイド」と表現されるものです。さらに、Hogan Assessmentでは、「ダークサイド」を11種類の評価項目で細分化しています。