- 勝 幹子サイコム・ブレインズ株式会社
執行役員 / シニアコンサルタント
コラム
2020.11.19
では、組織文化診断がどのようなものか、もう少し具体的にみてみましょう。上の図は、スマホアプリ開発を行うA社の診断結果です。6つの指標のうちの一つ「組織の効果性」について示しています。この指標は、組織がビジネスを行うときに、仕事の進め方や規則などの手段を重視するのか、あるいは手段は気にせず、常に、目的・ゴール達成を追求するのかを測るものです。例えば、発電所や生産工場などの、事故防止や品質確保がなによりも重要となる職場では、価値観が「手段重視」に寄っている必要があります。一方で、A社のような会社では、従来通りの仕事の進め方を踏襲していては新しいサービスを作り出すことができませんから、価値観は「目的重視」に寄ったものになっている必要があります。
A社の戦略実行のために「最適」な価値観と、従業員が持つ「現在」の価値観をスコア化すると、両者の間にはギャップがあることがわかりました。実は、A社では、現場の従業員が過去の成功体験に囚われ、既存の開発プロセスを踏襲してしまっている状態だったのです。現状のままでは、イノベーティブな製品開発を目指すというA社の戦略を実行できないため、従業員の意識改革のため、トップメッセージの浸透や評価制度の改革、ワークショップの実施等、様々な取組を企画する必要があるということがわかりました。このように、サーベイを活用することで、組織の現状と克服すべき課題を客観的に把握することが可能です。課題が見える化されれば、改善策を具体的に検討することも可能になります。
コロナ禍で人の移動が制限され、リモートワークが普及する中、チームの組織力に不安を感じている方も多いと思います。ともすると意識がいきがちな「まとまる力」だけでなく、「戦略を実行する力」についても注目しながら、組織の現状をサーベイで見える化してみてはいかがでしょうか。チームメンバーのスキルや経験が足りないからといって諦める必要はありません。チーム・組織とは、メンバー個々の能力の足し算をこえた、大きな力を発揮する可能性を秘めているものです。サイコム・ブレインズでも、「戦略を実行する力」の観点から、皆さんが一丸となって組織力を高め変化の時代を乗りこなすお手伝いをしていきたいと思います。
勝 幹子Mikiko Katsuサイコム・ブレインズ株式会社
執行役員 /
シニアコンサルタント
上智大学外国語学部、一橋大学大学院国際企業戦略研究科卒業。
電機メーカーの人事部勤務ののち、ソフトウェア開発のベンチャー企業にてアライアンスを担当。国内外のビジネスパーソンともっと自信をもって渡り合えるようになりたいと、一橋大学大学院国際企業戦略研究科(MBA)に入学。多国籍な仲間と切磋琢磨しソウル国立大学への留学も経験。サイコム・ブレインズに参画後は多国籍な参加者向けの研修や海外体験研修の企画の立ち上げに携わり、インドネシア拠点の設立と運営を担当。最近では異文化マネジメントの講師や組織文化に関するコンサルティングでも活躍。海外出張に行けない昨今では、毎朝のジョギングや早めの就寝など健康的な生活習慣の継続に注力。鎌倉出身で将来の夢は海辺に住むこと。
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