コラム

2021.06.30

経営リーダーが「DXプロデューサー」になるために ~自社のDX推進を抽象論で終わらせない、最初にとるべき4つのステップ~

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宮下 洋子 Yoko Miyashita
宮下 洋子 サイコム・ブレインズ株式会社
ソリューションユニット コンサルタント

できること、できないこと、今後できそうなこと。DXに対する認識が「ひと昔前」になっていないか?

ではこの2つの要件「デジタル技術リテラシー」と「構想力」を身につけるためにはどのようにしたらよいのでしょうか。私は次の4つのステップをお勧めします。

STEP1.DXに関する基本を理解する

「DX」と「デジタル化」はどう違うか、DXの意味や、DXで目指すべきは何か、代表的なテクノロジーが何を可能にするものなのか、といった概観を知っておくのは、やはり最初のステップといえるでしょう。特に、デジタル技術に関するイメージが偏っていたり、一昔前の情報であったり、消費者目線の理解しかない、という人にとっては、多様な業界や海外(特に中国)でどのようなソリューションが、どのような技術によって生まれているかを知ることは重要です。DX=IT企業になれといっているわけではなく、パワフルもしくはDisruptive(破壊的)なデジタル技術を使うことで、競合に大きく勝つような顧客価値創出を目指すことについて理解します。ビジネスコンサルタント等からの話を聞くだけでもDXの「事例」理解には充分ですが、できれば現場の最前線にいる専門の研究職の方の話もあわせて聞かれることをお勧めします。なぜなら、デジタル技術の進化は非常に早く、いま不可能でも2~3年先には実現可能と目されている技術は多いため、そうした未来の技術動向を押さえておく、というのはDX構想においては特に重要となるからです。当社でもAIの専門家が監修するDXの基礎理解のための映像講座や、DXリテラシー診断テストをご用意しています。こうした教材を活用されても良いでしょう。

STEP2.DXへの危機感の醸成と、デジタル技術の攻めの活用を志向する

「DXはIT部署の仕事」という感覚の方は、幹部層も含め、珍しくありません。企業の勝ち負けがデジタル技術の活用にかかっているといっても過言でない昨今、事業計画策定を担うことになる将来の幹部候補には特に、DXが後手になったことで競争に敗れた大手企業の事例を通じて危機感を抱いたり、素早いアクションの必要性を実感してもらうことが必要です。当社では、DXによる業界の破壊的変化を題材にしたケースを通じて、デジタル技術を「攻め」に使えるかどうかが企業競争力の圧倒的差を生み出していること、これができてこそビジネスモデルの変革が可能になること、ビジネスモデルの変革には全体最適の視点に基づいた部署間連携が鍵であることなどを理解し、これを「自分ごと」として考えられるようになるための演習を行っていただきます。

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