座談会

2021.08.11

未知との向き合い方は、一人より誰かと考えた方がよい ~コロナ禍があったからこその「人事としての軸」(後編)~

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今矢 敦士 Atsushi Imaya
今矢 敦士 サイコム・ブレインズ株式会社
コンサルタント

これからの自分に本当に必要なものは何か、仲間とともに見つけることができる場に飛び込んで欲しい

  • 今矢 敦士
    今年も9月から「次世代戦略人事リーダー育成講座」が開催されます。これからの時代に、人と組織の問題解決をおこなっていく方々、この講座の受講を考えていらっしゃる方に向けて、人事としてどのような能力を身に付けたらよいか、アドバイスやメッセージをいただけますか。
高尾 千香子 氏
  • 岡本 弘基
    人事、特にHRBPを目指すのであれば、一つは、コミュニケーションの能力を磨く必要があるでしょうね。ファシリテーション、プレゼンテーションも含めたコミュニケーション力。人事の立場、会社の方針や目指したいものを伝える、わかってもらうためにはコミュニケーションスキルは外せません。もう一つ、これからの人事に必要なのは、データ分析力、アナリティカルスキルです。これから先どんどんデータがたまってきますが、それが何を意味するのか、最終的な意味づけや解釈は人間がしなければならないので、AIが出てくるとしてもデータ分析力は必要だと思います。さらに、HRBPが戦略人事というのであれば、なぜそのミッションをやらなければいけないのか、どうしてそれが必要なのかを考えるだけのロジカルシンキングの力も必要です。この三つの力は持っていなければならないと思います。
  • 高尾 千香子
    組織にはミッション・ビジョン・バリューといった社会に与えたい価値、貢献していきたいものがあると思うんですけど、人事としては、それらを実現・加速するための「ホットボタン」を見つけ、提案する力が必要だと思います。つまり、ミッション・ビジョン・バリューと実現の間をつなぐ時に、「これを押せば動く」という課題発見の知識とスキルですね。
  • 谷 圭一郎
    私にはHRBPの経験はありませんが、C&Bで設計する時には、運用時にHRBPの方々に確認してもらい色々意見をもらうことが多いので、それを通じて感じることをお話しします。まず、HRBPとして、組織の成り立ちや自身が担当する部門のバリューチェーンをしっかり把握しておくこと、カウンターパートである事業部長が抱えている課題を理解することが出発点だと思います。また、組織のケイパビリティを高めるために人事の観点から「こういったことが大事です」と言い出せること。きちんとビジネスリーダーと社員の双方にコミュニケーションをとって、課題と解決策を伝えられて、場合によってはビジネスリーダーが言いたいことを現場に響く内容に翻訳しながら伝えられるような仕掛けを作る。そのような力が必要だと思います。
  • 今矢 敦士
    人や組織の課題を発見し、経営陣や事業部のトップ、現場の社員とコミュニケーションを取りながら解決していくために、人事の方は本当に様々な能力が必要ですよね。「次世代戦略人事リーダー育成講座」でも、毎回様々なテーマで議論しながら、自社の成長や変革のために人事として何が必要か、どのように取り組むべきかについて考える機会がたくさんあります。人事の方が外に出て他社の人事と交流することの意味は、自社の枠を超えた発想に刺激を受けることで、人事として今後強化したいことが明らかになる、ということだと思います。

    今回はコロナ禍という誰も予想しなかった大きな変化を背景にお話ししてきましたが、今後も私たちは多くの変化、多くは予測不可能な変化に直面するのだと思います。それに対してどう向き合えばよいのかを考えるにあたって、自分ひとりではなく、やはり誰かと一緒に考える。できれば「戦略人事」という同じミッションを共有する仲間どうしで語り合う。そんな場をこれからも提供できればいいなと考えています。
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