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コラム

2021.09.06

DiSC®で「CS」のコンサルタント兼ジャズプレイヤーが考えた、ビジネスにおける対話の作り方 ―リーダーが意図を持って設計したいチームのコミュニケーション(後編)

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山﨑 俊樹 Toshiki Yamazaki
山﨑 俊樹 サイコム・ブレインズ株式会社
ディレクター / シニアコンサルタント
DiSC®で「CS」のコンサルタント兼ジャズプレイヤーが考えた、ビジネスにおける対話の作り方

2020年のコロナ禍以降、日々のコンサルティング活動を通じてお聞きする、部門やチームを率いるリーダーのお悩みの1つに、リモートワーク導入が進んだことによる「チームメンバーとの意思疎通の難しさ」があります。意思疎通が上手くいかなければ、メンバーのモチベーションの低下や、チームとしての生産性の低下の原因になりますから、これはリーダーにとって放置できない課題と言えます。私はチーム内の意思疎通の良し悪しは、リーダーによるコミュニケーションの設計しだいであると考えています。今回はその「設計」について、「機会の作り方」と「対話の仕方」の2つの観点から考えてみたいと思います。

「相手の立場に立つ」ということが、思いのほか難しい時代になっている?

前編では、チーム内の意思疎通、そのためのコミュニケーションの設計として「機会の作り方」について考えました。後編では「対話の仕方」について考えてみます。

考える前提として、現在、私たちが置かれているビジネス環境は、複雑さを増しています。先の読めない変化の激しい時代に、グローバルな競争を勝ち抜くために、外国籍社員や雇用形態の異なるメンバーをチーム内に迎えたり、部門や国を超えた連携が必要なプロジェクトが組まれたり、リモートで仕事をすることが増えました。経験や立場の異なる人たちと上手に仕事を回すためには、どのようなコミュニケーションが必要なのでしょうか。具体的な事例や手法を交えながら、3つのポイントに絞ってお伝えしたいと思います。

まず1つ目は、「相手の立場に立って考える」ということです。よく言われる言葉ですが、皆さんは「本当に自分はできている」と言えるでしょうか?
たとえば先日、ある顧客企業の営業部門にお邪魔をして、営業活動の進捗状況について教えていただく機会がありました。進捗状況シートをその場で拝見しましたが、そこに記載された「お客様名」「提案内容」「その提案がお客様に与えるメリット」のうち、お客様に与えるメリットの欄にはお客様にとってのメリットが書かれていない、書かれていたとしても実はお客様のメリットにはなっていない、そのお客様特有の事情やニーズを捉えたメリットが書かれていないということが多くありました。相手の立場に立って考えるという思考が弱いことが分かります。

例えば上の図で言うと、Aさんは相手のメリットを伝えているつもりですが、表面的でインパクトがありません。お客様からは「だから何なの?」と思われるかもしれません。一方、Bさんは相手特有の具体的なニーズに絡めてメリットを語っています。相手の立場に立ってしっかりと考えている証です。お客様から「よく理解してくれている、頼もしい人だ」と思われ、信頼関係を深めることができるでしょう。社内のコミュニケーションにおいても、メンバーの立場に立ち、そのメンバー特有のメリットを考えて話すことは重要です。メンバーからは、よく理解してくれた上で助言をしてくれる頼もしいリーダーであると思われることでしょう。ここで前提となるのは、メンバーに対する理解を普段から深めておくことが重要であるということです。相手をまず理解する、相手の立場に立って対話するという考えは、是非メンバーとも共有したいものです。

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