Awareness、もしくはSelf-awareness という言葉については、最初はあまり聞きなれない言葉だなと感じました。Self-awarenessは、「自分の感情の状態を正しく把握でき、同時にそれが他人にどのような影響を与えているかを十分認識できること」を表します。「自分のことを正しく認識していますか?」という質問に対して、Become a more emotionally intelligent leader: awaken to your mindset(Ryan Gottfredson)では、「95%の人がSelf-awareだと思っているが、実際は12-15%。なぜなら私たちは90% の思考、感情、判断、行動を無意識のうちに自動的に行っているから」と説明していました。まずは自己認識がどのくらいできているのか、というところからスタートする必要があるようです。
別のセッションでは、Harvard University Graduate School for Education がまとめた「Next Generations Skills」の順位を、1.Thinking 2.Self understanding 3.Empathy と紹介していました。複雑さが増し、テクノロジーの発達による便利さ、効率、スピードが重視される時代において、コミュニケーションスキルやテクノロジーの知識よりも先に、Self understanding=自己理解力が上位のスキルとして位置づけられることを興味深く感じました。
また、Leadership Agility in the Fourth Industrial Revolution(Ray Linder) のセッションでは、現在進行中の「第4次産業革命」におけるリーダーには、アジリティ(急激な変化の中で賢明な意思決定ができる)が重要であるという、「リーダーシップアジリティ」が紹介されました。そしてリーダーシップアジリティのコンピテンシーとして、まっさきにSelf-awarenessを示していました。その背景には、アジリティを高めるためには、新しいやり方を積極的に試しながら自身が変化していく必要があり、その過程において結果を内省したり他者からフィードバックをもらうことで、より上位のリーダーシップアジリティを身につけていく必要性が語られていました。
Mindfulness for peak performance, creativity, and resilience(Marissa Afton)によると、マインドフルネスは3年くらい前までは「瞑想」のイメージが強く、ビジネス界で取り上げることに抵抗感があったようですが、グーグルをはじめとする有名企業の導入や、脳科学の発達により実際に脳の働きのポジティブな変化が明らかになり、ここ数年でマインドフルネスに対する認識が大きく変わってきたそうです。実際、参加者の多くがすでにマインドフルネスを実践しており、ポジティブな雰囲気の中で、呼吸に意識を集中しながら1から10まで数をかぞえる5分間のエクササイズを体験しました。マインドフルネスは、脳の筋トレのようなものなので、毎日継続して実践することが重要で、このセッションのスピーカーの会社では無料アプリも提供しています。プラクティスを続けると、Self-awarenessを高めるだけでなく、集中力が持続するようになり、仕事の効率もアップするそうです。