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座談会

2018.06.05

3人の人事パーソンが本音で語る、 人事の現在地と未来 (後編)

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江島 信之 Nobuyuki Ejima
江島 信之 サイコム・ブレインズ株式会社
取締役執行役員
3人の人事パーソンが本音で語る、 人事の現在地と未来 (後編)

戦略人事という人事のあり方が「論」として広く認知された今、今後は個々の人事パーソンが現場を巻き込みながらそれを具現化していくことが求められています。またHRBPの導入やHRTechの活用が進むなど、人事の具体的な役割や日々の業務のあり方にも大きなパラダイムシフトが起こりつつあります。そのような中で、これからの時代に向けた人事のロールモデルを自社の中に見出すことが難しい、というのも人事パーソンの悩みどころの一つではないでしょうか。今回はサイコム・ブレインズの「次世代戦略人事リーダー育成講座」の卒業生3人に、それぞれの企業における現状の課題や取り組み、そして今後ますます進展するであろう、人事におけるテクノロジー活用についてお話を伺います。

「HRBP忙し過ぎ問題」と人事への期待の高まり

佐藤 拓也 氏
カルビー株式会社 佐藤 拓也 氏
  • 江島 信之
    サイコム・ブレインズでは一昨年、昨年とHRBP関連のセミナーを企画したのですが、これが非常に反響が大きくて、たくさんの方にご参加いただきました。もちろん自分のキャリアの問題としても関心があるのでしょうが、同時に戦略人事を具現化するために自社でHRBPを導入すべきかどうか? 導入するとしたらどのように? という意味での関心も、年々高まっているように思います。

    岡部さんと水越さんは現在HRBPの役割を担っておられます。佐藤さん、カルビーではこのHRBPに関してはどのような状況でしょうか?
  • 佐藤 拓也
    カルビーでは、プロフィットセンターである4つの地域事業本部のそれぞれに担当人事部長がいて、本部長の相談役・右腕として人の問題に関する協力体制を敷いています。一方で、全部で11ある本社部門に対しては、私がいる人事総務本部が面倒を見ているようで見ていない、人の問題を拾えていない、という状況にありました。

    そこで人事総務本部の中で部門ごとに担当を決めて、従業員面談をしたのですが、これが意外に良くて。現場の思いや課題感が見えてきて、そのことで悩んでいる本部長がいることも分かりました。なのでHRBPと名刺に書くとか、組織的にどうするかはこれからですが、それぞれの部門のビジネスやミッションをしっかり理解した上でサポートする体制を作っていこう、と話し合っています。
  • 江島 信之
    なるほど。HRBPを導入すべきか?誰がやるか?という議論から入るのではなくて、人事として拾えていない部分を拾ってみたら課題が見えてきて、ごく自然な流れでHRBP的な役割を担おうとされているわけですね。
  • 佐藤 拓也
    自然発生的というよりは、人事が勝手に「従業員面談やります!」という感じでした。これまでは皆さんのキャリア志向を紙に書いてもらっていたのですが、「もう止めよう。やっぱり会話だよね」という話になったのが、そもそものスタートでした。
  • 江島 信之
    HRBPに関してもう一つお話したいのが、忙しさの問題ですね。ビジネスパートナーとしての役割を担う、誰も拾っていない部分を拾うというのは、必然的に仕事量が増えるということでもあると思います。HRBPの方々のお話を聞いていると、皆さん本当に忙しくされていますよね。
  • 水越 亜樹
    すべてを抱えることはできないので、何か新しいことをするためには、何かを捨てなければなりません。なので、今年度中に絶対やらなきゃいけないことって何だろう?戦略の中で一番ヒットするものは何だろう?そこから一番遠いものは何だろう?と優先順位を考えることだと思います。幸い弊社のトップマネジメントがそういうメッセージを発していることもありますが、「捨てる勇気」がないと、個人としてできることは限られるのではないでしょうか。
  • 岡部 峰之
    本来部門のマネージャーがやるべき手続き的な業務を、人事が代わりにやってしまっている、というのは散見されますね。やはりマネジャーに対してトレーニングをしたり、マインドセットを変えていかないと、いつまでたっても人事がオペレーショナルな部分に時間を割かなければならなくなります。

    一方でHRBPの忙しさをポジティブに捉えるとすれば、それは経営層から人事に対する期待が高まっている、ということではないでしょうか。たとえば「専門性もあって、リーダーシップもあって、将来性もある人が欲しい」といったときに、これまでは網を広げたらパッと採用できたところが、労働人口が減る中ではそれがどんどん難しくなっている。でも人を取らないと経営が成り立たない。採用ひとつとっても、文字通りビジネスパートナーとしての人事に対する期待値は上がっていて、これも忙しくなっていることの要因だと思います。

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