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対談

2019.06.07

真面目で優秀だけど“コスパ”が低いと動かない? 若手社員と働く管理職に必要なこと ―早稲田大学ビジネススクール 長内厚教授に聞く (後編)

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太田 由紀 Yuki Ota
太田 由紀 サイコム・ブレインズ株式会社
取締役

若者は社会に貢献したいが、「会社」は「社会」じゃない?

  • 太田 由紀
    コミュニケーションが不得意というわけではないけど、重視していない管理職の方も結構いますね。研修で「朝晩の挨拶をしていますか?」と聞くと、下を向いて「フフフ…」って笑う人もいます。でも、挨拶をしない人に仕事上の悩みを相談できるかといったら、できないと思います。
  • 長内 厚
    日々のコミュニケーションを取っていないのに、突然大きなことをやろうとすると、浮いてしまいます。コミュニケーションの目的は、相手を理解して、成果につなげることじゃないですか。コミュニケーションは量が多ければいいと勘違いしている方がいらっしゃいますが、あうんの呼吸でもコミュニケーションの質が良ければ結果としてはいいわけで。

    ではどうやって質を高めるのかといったら、「お互いがリスペクトしている状態」というのがものすごく重要だと思います。挨拶もそうですが、部下であっても「ありがとう」と言えているかとか。僕がリスペクトしている人、「この人は信用できる」「この人に相談したい」と思う人は、よく考えると必ず最後に「ありがとう」と言ってくれる人だったんです。
  • 太田 由紀
    今、「サイコロジカル・セーフティ(心理的安全性)」という言葉が注目されていますが、それにも通じる話ですね。当たり前ですが、心理的な安心・安全が確保されていないと、人は自由にものを言わないし、いいアイデアを持っていても出さないですよね。
  • 長内 厚
    昔のように、言いたいことがあっても我慢して、我慢して、10年20年かけて理解されればいいというのは、特に若い人には通用しなくなってきています。面白かったのは、大学院を卒業して就職したある会社の新入社員が「ウチの部署、どうやら忘年会がなさそうなんだけど、そんなものなのかな?」と。僕が「じゃあ、自分で幹事をやったらいいじゃない?」と聞くと、「いや、そこまではしたくない」と。何か、そういう世代なんだと思います。

    そういうガツガツしていない若者にどう対応するかというと、「あともう一歩踏み出せるような雰囲気」を作ってあげるのが、すごく重要だと思います。分かりやすい形で「ここで言ってもいいんだ」という気持ちにさせる。「何かやってあげたい」と思わせる。そうでないと今の若い人は付いてこない。
  • 太田 由紀
    今の若い方は、「社会貢献」とか「人の役に立ちたい」という意識が他の世代と比べて強いといわれる一方で、「この会社にずっといて会社に貢献する」というよりは、自分自身の成長の方を意識する。そんな相反する志向を持っているように思います。
  • 長内 厚
    今自分がいるこの会社・このチームが一つの社会であって、そこに属していることが自分の成長につながる、と感じられるかどうかなんだと思うんです。人事から「この部署に入れ」と言われて、それで動くのはおそらく今の40代以上の人たち。だから若い人には、「社会貢献」というときの「社会」を、今自分がいる小さなコミュニティーにダブらせてイメージさせることが必要なのだと思います。

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