対談

2020.08.20

コロナ禍で改めて分かった変化し続けることの大切さ ―上田昌孝氏に聞く、企業変革とダイバーシティ (前編)

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太田 由紀 Yuki Ota
太田 由紀 サイコム・ブレインズ株式会社
取締役

労働基準法は今のままで良いか?

  • 太田 由紀
    企業変革のキーワードとして、ダイバーシティという言葉が出てきました。先ほど仰っていた通り、ダイバーシティが未だに福利厚生や社会貢献と捉えられているのは、ちょっと違うと思っています。
  • 上田 昌孝
    ただ、それはその会社が置かれている環境を考えるとそうなりますよね。未だに年功序列的なピラミッド構造を持つ会社が、社会的な要請に応えようとするとそうならざるを得ない。だけど、インフレを続けていた高度成長の時代にピラミッド型の組織が出来上がったのはわかるけど、今はモノの価値が下がる世界です。それなのに、昔と同じような組織や構造のままというのはありえない。だから、ダイバーシティについても本質的な議論をするなら、そもそも年功序列のピラミッドで良いのかというところを考える必要があると思います。さらに大きなところで言えば、労働基準法が今のままで良いのかという問題もあります。
  • 太田 由紀
    労働基準法は、労働者を守る法律です。本来は、企業と社員は対等であり、お互いに仕事を選ぶ、社員を選ぶという関係だと思うのですが、なかなかそうはいかないところもありますよね。
  • 上田 昌孝
    労働基準法の元々の成り立ちとしては、炭鉱労働者のための保護政策みたいなところがあって、そこから変わっていない。つまり炭鉱労働者でも体力がある人とない人では一日に掘る量が違うけれど、基本的には時間で管理している。一人ひとりの掘る量を計測するのは実際には難しいから、時間で管理した方が効率が良かった。それで、事務職の仕事に対してもこの管理の仕方を今もほとんどの企業が踏襲している。いわゆるホワイトカラーを前提とした法律ではないので、いろいろなところで歪みが出てきています。法律が環境の変化に対して遅れていると思います。

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