コラム

2020.11.13

日本の企業文化やキャリアプランを学ぶ環境づくりを ― 外国人社員の離職を防止するために(後編)

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蒋 小敏 Xiaomin Jiang
蒋 小敏 サイコム・ブレインズ株式会社
コンサルタント

離職防止施策にもなる動画ライブラリーの使い方

私は秘書検定の受検を通じてある程度のビジネスマナーに関する基礎知識を身に付けましたが、日本企業で働く経験自体が少なかったので、サイコム・ブレインズに入社してからも周りの日本人の行動が理解できず、自分は日本企業でどのようにすれば評価されるのか分からず、また、こうした異文化によるストレスや今後の自分のキャリアなどについて相談する相手がいないことが悩みでした。ただ、幸いにもサイコム・ブレインズには自社で販売する動画見放題のサービス「ビジネスマスターズ®」があり、これがかなり役立ちました。

実はこうした私の悩みを解決するような動画があるということは、自分で視聴しながら発見しました。視聴スピードを調整できて、ドラマ形式のものは内容を理解しやすく、1つの動画が短くて完結しているので、視聴しやすくて良かったです。そこで、ビジネスマスターズに搭載されている1900本を超える動画の中から私のお勧めを紹介します。まず初めは、若いうちに日本企業に評価されたいという外国人社員の期待に応える「若手社員のための結果に差が出る仕事力講座」と「【即学】成果を上げる仕事術」です。私が視聴したのは入社から1年経った頃ですが、視聴しながら「なるほど、日本企業はここで評価するのか。今まで自分が評価されているのはこの理由なのか。」と気づくとともに、期待されている行動とずれているところについては、自分の行動を修正するように心掛けました。この他にも、日本の文化の違いを客観的に受け入れることに役立つ「日中異文化コミュニケーション」や「日タイ異文化コミュニケーション」、自身のキャリアを築く時に視野を広げるようなヒントを与える「キャリア開発の考え方&フレームワーク」はお勧めしたい動画です。

こうした動画ライブラリーを導入するにあたって、視聴率が気になる人事担当者の方は少なくないと思いますが、ツール自体は低コストで、自立的な学習を促進する特徴があり、学習意欲が高い人に対して効果的です。ですから、まずはそこは気にせずに導入し、視聴した内容の理解度はOJTを通じて確認するのも良いかもしれません。OJTの途中で復習のためのツールとして活用すれば、学びは深くなり、個人の内省にもつながるでしょう。

動画ライブラリー活用時の留意点としてお伝えしたいのは視聴を必須にすれば、外国人社員は学習というより仕事だと感じるということです。ビジネスマスターズでも企業の担当者側で視聴の必須・推奨といった学習計画の設定が可能です。こうした機能を活用する際は、必須は最小限にして、ツールやコンテンツ自体の価値と有効性をきちんと伝え、どの動画を視聴するかは、なるべく本人に任せる方がよいと思います。必須にする場合、キャリアプランと結び付けて説明すれば、学習の目的が明確となり、外国人社員は受講しやすくなります。学習内容については、早いうちから上の段階の知識やスキルを学ばせるとモチベーションアップに繋がります。会社から期待されているというメッセージになるからです。

以上、このコラムでは、外国人社員の離職防止と育成に関する具体的なアイディアをお伝えしてきました。最後に、日本企業で働いている外国人当事者として、外国人の採用/育成を行っている日本企業の人事もしくは外国人社員を部下に持つ上司の方に以下のことを伝えたいです。

「日本企業で働いている外国人は、日本のビジネス習慣を学ぼうという覚悟、そして誰よりも活躍したいという思いを持って、入社を決めています。決して簡単には辞める決断をしません。ですから、受け入れの体制や研修の整備といったこともありますが、まずは心から彼らの行動や文化に興味を持って、お互いの違いを楽しもう、という姿勢を持ってください。」

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