- 宮下 洋子サイコム・ブレインズ株式会社
マネジャー/シニアコンサルタント

企業の人材開発ご担当者とDX(デジタル・トランスフォーメーション)のための人材育成施策について意見交換をする機会が多くなりました。そこで感じていることは、これまでのいわゆる「業務改革」や「新規事業開発」と、あらたな課題としての「DX推進」、この2者において必要な人材要件がどのように違うのか、明確に定義されていない、ということです。昨年、私はDX人材の採用・育成をテーマにセミナーを開催し、DX人材の要件定義についてご紹介しました。その時はできるだけ抜け漏れなく、DX人材のタイプ別要件や必要な能力をリストアップしたために、それを見て、「自社人材に足りていないスキルだらけ…」「どこから手をつけたらよいかわからない」といった印象を持たれた方もいらっしゃったかもしれません。
また、DX人材育成の具体的施策をお聞きすると、「DXとはなにか?」という定義や事例を中心とした概論的な知識の習得、あるいは社内のDX推進担当者の話を聞く、というケースが多く、その他は従来の業務改革・新規事業開発のための研修と同様に、基本的なフレームワークの習得や、自社課題の解決を経営陣に提言する、いわゆるアクションラーニングを行うことが多いようです。しかし、私はそういった内容の研修だけでは、自社のDXを推進するには不十分だと考えます。
そこで、本コラムでは、セミナーで上げた要件のうち、優先順位がもっとも高い要件とその理由、また企業の成長戦略に不可欠なDXを牽引しなければならない経営幹部およびその候補者が自社のDXを当たり前のように構想できるようになるための育成施策について提案させていただきます。