コラム

2021.09.15

日本の文化が、私たちの自信の無さに影響を与えている? ~グローバル環境における自己肯定感の高め方(前編)

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加藤 円 Madoka Kato
加藤 円 サイコム・ブレインズ株式会社
シニアコンサルタント

グローバルな環境では「不確実であること」「型が通用しないこと」へのレジリエンスを高めるべき

最後に取り上げる次元の不確実性の回避(UAI)は「仕事をどのように進めるか」を表します。日本のUAIスコアは92です。100に近い国は不確実性や予測不可能な状況を嫌います。将来の不確実なことに対して不安が残らないように事前に手を打って回避しようとする思考が強く、明確なルールや答えを得ることによって「安心」を確保しようとします。

日本人のUAIの高さを表す例として、物事を構造化・標準化することに長け、マニュアル、PDCA、報連相といったビジネス手法を好む点があげられます。実はコロナ禍でお問い合わせが増加した研修のひとつに「オンライン商談」や「オンライン下の部下マネジメント」など、社会の変化に応じた新たな「型」を学ぶ内容が多く、ここにも日本の特色が表れていると感じます。グローバル人材育成の現場においても、例えば英語プレゼンテーションや英語会議のための「型」を体系的に学ぶアプローチが日本人学習者には非常に適しています。実際には英語力が上がっているわけではないのに、「型」を使うことでパフォーマンスが大きく変わる様子を何度も目の当たりにしてきました。

一方で、「型」だけでは対応できない想定外の事態が起きたときには、英語が流暢であるかどうかにわらず、急に何もできなくなってしまうということが多いようです。グローバルな環境では日本の常識に当てはまらない言動を受けたり、想定しないような質問をされることが多いものです。さらに、アフターコロナ、with コロナ、ニューノーマルなど、時代の急激な変化への対応力が求められる現代社会において、事前準備の時間を十分に取れない場合や、リスク回避よりもスピードを優先せざるを得ない状況も増えてきました。前述したMASにも関係してきますが、想定外のことが起きたり、上手くいかないと、大きな不安や怒りを感じ、それがストレスとなって意欲とパフォーマンスの低下、健康を害する可能性さえあります。今、盛んに「レジリエンスを高める」必要性がうたわれている背景には、日本人のこのような特性も大きく影響しているのではないでしょうか。

以上、日本人の自己肯定感が諸外国と比較して低い要因を、ホフステードの6次元モデルを使って文化的特徴から分析してきました。後編では、この要因を踏まえながら、日本人がグローバルな環境でさらに活躍するための自己肯定感の高め方について、具体的な手法をご紹介します。

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