人的資本経営のエンジンとなるダイバーシティ、エクイティ&インクルージョン(DE&I)
激動の時代と言われる今、企業は、多様化する顧客ニーズ、破壊的イノベーション、DX、労働人口の減少など様々な課題に直面しています。これらの課題を乗り越え、10年後も成長し続けるためには、「人材」を通して持続的な企業価値向上をはかり、想定外の変化も前向きな変革へ転換できる組織になること、つまり人的資本経営の実現が不可欠です。
そして、人的資本経営のエンジンとなるのがダイバーシティ、エクイティ&インクルージョン(DE&I)です。経済産業省の人材版伊藤レポート2.0が「知・経験のダイバーシティ」と表現したように、企業は個々の従業員が持つ、多種多様な専門性・経験・価値観・感性を許容し、強み、価値として最大限に引き出す必要があります。
- 「知・経験のダイバーシティ」と「ウェルビーイング」の土台となるのが、
オピニオン・ダイバーシティ -
上述の、知・経験のダイバーシティが機能するためには、オピニオン・ダイバーシティ(意見の多様性)が不可欠です。組織で働くひとり一人が、多様な意見を恐れず述べることができ、自身とは異なる意見に耳を傾け、健全な議論を交わすことができる。このような土壌があってこそ、より多くの価値を引き出すことが可能になります。まずはオピニオン・ダイバーシティを組織に根付かせることが、人的資本経営の第一歩であると言えるでしょう。
また、オピニオン・ダイバーシティは、従業員のウェルビーイング向上の観点からも人的資本経営に寄与します。個々の経験・考え・価値観などが受け入れられ、健全な意見交換ができる職場では、従業員は自らの強みを活かし、成長のチャンスや心身の充実感を得ながら働くことができます。その結果、組織の生産性向上や成長につながるのです。
- オピニオン・ダイバーシティ実現の第1段階:目に見えやすい多様性から取り組む
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一方、オピニオン・ダイバーシティを組織に根付かせることは容易ではありません。同質性の高い組織においては、多くの場合、変化に抵抗する力が働くこと。また、オピニオン・ダイバーシティが実現した状態や達成の度合いを定量化して測ることが難しいことがその理由です。
ではどうするかですが、効果的なのは、まずは「デモグラフィー型ダイバーシティ(国籍・性別・年齢など、目に見えやすい属性からなる多様性)」から取り組むことです。特定の属性を持つ「多数派」で占められている同質性の高い組織の中に、「少数派」の割合を増やしていきます。この時、一時的に軋轢が生まれますが、進行と共に多数派と少数派の間に存在する断層(フォルトライン)が徐々に解消され、多様性の軸を増やしていくことが可能になります。
目に見えやすい属性にフォーカスすることは、組織として目指すゴールや現状を定量化し、進捗度を測る目的においても有効です。2023年度より、金融庁が上場企業を中心に有価証券報告書への人的資本情報記載の義務付けているダイバーシティ関連項目は、男女間賃金格差・育児休業取得率・女性管理職比率など、デモグラフィー型ダイバーシティの進捗度を測るものが目立ちます。
- オピニオン・ダイバーシティ実現の第2段階:目に見えにくい多様性が緩やかに進行する
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デモグラフィー型ダイバーシティが進行するとともに、より多様な属性に紐づいた経験・価値観・感性が組織内に存在しやすくなり、「タスク型ダイバーシティ(個々人の経験・価値観・感性といった、目に見えにくい多様性)」も緩やかに進行します。初めからタスク型ダイバーシティを目指すという考え方もありますが、進捗度の可視化やKPI化が難しく、確実な実現へのハードルが高くなります。
デモグラフィー型、タスク型と、段階を踏んでダイバーシティが進行した結果、組織内で表出する意見・知見も多様化し、オピニオン・ダイバーシティの実現につながります。
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