去る7月27日、早稲田大学ビジネススクールにおいて、長内厚教授が講師を務めるオンライン授業「企業人のためのダイバーシティ・マネジメント」に、サイコム・ブレインズ専務太田由紀がゲスト講師として登壇しました。この回のテーマは「職場における無意識の偏見」で、約60名が参加しました。
ダイバーシティ推進を「無意識の偏見の緩和」という側面から考えるこの授業では、「女性活躍」「男性の育児休業」「ジェネレーションギャップ」の3つのトピックを取り上げました。
サイコム・ブレインズが実施した男性の育児休業に関する調査では、「男性が3か月以上の育児休業を取得するとキャリアにマイナスの影響が出る」と答えた回答者を階層別にみると、経営幹部・管理職レベルでは22%に対して、一般レベルの従業員は13%と、意識のギャップが生じていることが分かりました。ゲスト講師の太田は、こうした様々な調査結果をもとに、職場の中にある意識のギャップ、その背景にある無意識の偏見、それらの偏見をどのように緩和してダイバーシティを推進していけばよいのかを、事例とともに解説しました。オンライン授業では、参加者の意見や体験談を口頭だけでなくチャット機能も使いながらひろい上げ、短時間でも活発なディスカッションをすることができました。
▶参考:「男性の育児休業に関する意識調査」(エグゼクティブサマリー|調査結果全データ)
コロナ禍の中、多くの企業で在宅勤務・テレワークの導入が加速したことで、職場におけるリアルなface to faceのコミュニケーションが減っています。コミュニケーションの不足は無意識の偏見を助長する要因でもあります。「50代以上の社員はITリテラシーが低いから、オンライン会議が苦手」といったように、偏見を強めてしまった人もいるかもしれません。職場のメンバーの物理的な距離や、不慣れなオンライン会議の難しさもありますが、たとえば「オンライン会議では原則的として全員カメラをオンにして、お互いの顔を見せ合う」「チーム単位で毎日朝夕2回、短時間でもよいのでオンラインで業務の進捗状況をシェアしあう」など、簡単なルール、ルーティンを決めて実践するだけでも、コミュニケーションと相互理解を深めることができます。
ニューノーマルなビジネス環境で困難を乗り切る、組織として成長するために、ダイバーシティ推進は企業の経営課題としてこれまで以上に重要さを増しています。オンラインでもコミュニケーションを活性させること、職場のメンバーが相互に理解し合い、無意識の偏見に気づき緩和していくことが今後ますます求められます。